彫刻家・建畠覚造さん 2

アトリエは、いつもきれいに整理していた。建畠さんが、夜中にでも製作に取り掛かれるように製作終了後の机の上には、わら半紙と削りたての鉛筆。道具もきれいに並べ、ゴミなどはすべて私のアトリエまで持ち帰り、気持ちよく発想と作業に取り掛かれる空間づくりをした。相乗効果なのか、ノンストップで作業する私に、たばこ好きの建畠さんから、「君も一服どうかね」と度々声をかけていただいた。「一緒に肺がんにでもなりますか?」と、ウイットに富んだ会話で、気を紛らわさせてくれた。一度建畠さんの搬入で銀座の展示会場へご一緒した。搬入も終わり、「食事でもして帰ろうか」という。いきなりワインを頼んだ建畠さんは、満足げに笑みを浮かべている。作品の展示に満足なのか?ワインに満足なのか?おそらくおいしいワインにありつけたことが殊の外うれしかったのだろう。こんな日常を満喫できる人はそうそういない。面白い人だなあと。盛夏が終わることには、毎年行動展の搬入がある。建畠さんは、行動展のボスでもあるから、とびっきりの新作を披露しなければ気が済まない。とはいっても、彼の作品が、[Waving Figure]シリーズの黒塗り最盛期であるから、それをはみ出すわけにもいかないようだ。ある意味パターンにはまっているので、感動より追及、探求の意味合いでの作品である。搬入の時に、面白いエピソードがある。いたずら好きのコンビ(建畠さんと私)は、作品を大きな台車に乗せてその台車の中に建畠さんを鎮座させて搬入した。行動展の会員や出品者は、どのように我々を見ていたかはわからないが、まるでエジプシャンの荷役と皇族のおな~りみたいな光景が、会場内の笑いを誘った。建畠さんもにやにやしながら、「楽しかったね~」である。提案したのは私だから、「中野はアホか」ぐらいに感じられたかもしれない。そんな息抜きは、普段の製作では本当に気が抜けない建畠さんとの時間だから、こんな時にでも息抜きがしたかった。それが建畠さんと私の関係性でもあった。ちなみに私の興味はアースワークの彫刻コンセプトだったので、厳しい審査のある行動展には不向きである。ゆえに一度も行動展への応募をしたことがない。建畠さんごめんなさいといったところかな。

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