The fragility of our environment on earth,becomes apparent through our awareness.
To become aware we must see the beauty that surrounds us and breathe life into our existence. To breathe is the essence of life.

「天使のシナリオ」

ナカノ カンリ

序章

かつて中国は、西欧の列強と日本による支配を受けた忘れ難い思いがある。

だが今はアジアインフラ投資銀行の金子を糧として、一帯一路構想に夢中だ。

その構想に関係する国々は、中国主導の蜜月にのせられて、彼らの策略から抜け出すことができなくなっている。一方的な中国との支配関係に気がついた時には、自国の存亡をかけた戦いが生み出されている状況だ。支配は経済のみならず、領域・領土の侵略を受け陸海空の資源争奪に巻き込まれる。中国への割譲に近い各国の港湾は、中国海軍の寄港地として利用され、手堅いと思われてきた貿易港の意味を失い始めている有様。中国との関係は利害を避けることのできない状況となり、西側諸国の葛藤と遺憾の意は後手に回らざるを得ないのだ。

掘り起こされた中国の勝手気ままな歴史観は、西側諸国との形勢逆転を企みながら成長し続ける。中国が過去に受けた植民地の記憶をアジア諸国に移植して西側への狼煙を上げ始めたわけである。この事実は、中国共産党主導による牽引と考えるに不十分な理由が多くあり、純粋な国益体制のために中国国民総出で選んだ道筋である。アメリカへの対峙と歴史の記憶を利用することで、中国共産党の外殻が自然と固まり、より一層愛国主義に満ちたプロパガンダへと生まれ変わっているのだ。西側諸国の中国に対する囲い込みは徐々に意味をなさなく成り、アジアでの植民地の記憶が、新興国や発展途上国へ「記憶の移植」として転承し始めるのだった。

歴史をさかのぼり、欧州諸国の植民地化政策が、栄光と統治の記憶であり憤懣やるかたない気持ちをアジアの民の自尊心に働きかける。中国は、ノンゼロサムゲームのごとく戦いを挑み、敗者がない世界観を提唱しながら微笑むのだ。

ジャパンアズナンバーワンの時代を経験した日本は、その状況を今の中国に投影しながら、ノンゼロサムゲームを実行できないでいる。西側諸国の囲い込みに反旗を翻すロシアや中国は、先手必勝のゲーム感覚を心得ており、思うように動きが取れなくなる国際連盟を嘲笑しながら、様々なゲームを終焉へと導き、新たなゲーム構想に取り掛かるのだ。

西側諸国やそれらの陣営にまわった第二次大戦の敗戦国は、今更語ることはないと決めつける普遍的な歴史観を共有して、中国やロシアを抑え込もうとする。対する中国やロシアは、神話や宗教、産業革命、高度経済システム、高度情報化社会の象徴的な歴史経過の成長統制戦略を用いてゲームに臨み、負の歴史清算を行うのだ。

西側諸国が予測不能な状況の理解のためには線形的な考え方を見直す必要があり、非線形プログラムを用いて、侵略の歴史清算方法と既存の経済システム、世界の領域均衡の回答を探し出さなければならない。

今中国の必然が、偶然としてゲームは始まった。

新型コロナウイルスの蔓延を契機に、世界が中国による経済統治を受けるようなことがあれば、それが周到に準備されたゲームなのだと。

彼らが準備してきたシナリオは、統制の名分を振りかざさなくても、中国内政の延長として世界が膝まづき、経済支配によって蹂躙される日へのカウントダウンなのだ。

「歴史とは何かを考えさせる時が来たようだ」と彼らは考えているのかもしれない。

すでに中国は強大な張りぼて国家などではないのだ。

彼らは武器として高度な情報インフラを整備し、海外進出へのタイミングを計り、持ち合わせ貧欲な行動力によって、いつの間にか世界を席巻し始めた。そして独自の経済政策を嘯きながら、さらに西側への進撃を加速させる。

それは、国富において世界中に「元」の基軸通貨としての価値を認めさせ、中国国民と共に親密な国に地位の国家意識の向上と幸福感を与え、納得させる仕掛けなのだ。

中国の衰退や崩壊のシナリオなど、西側の的外れな憶測に過ぎないと言うことだ。

こちら側が考える普遍的な感覚を強要し、彼らに接見することなど、幻想であると。

現在中国では、輸出によって外貨を獲得できる企業が特別に優遇されている。彼らが獲得した基軸通貨を国家に収め、特別のシステムによる恩恵を受けるという試みだ。国に吸い上げられた基軸通貨は、数倍の価値に換算され、国内流通通貨「元」によって返還される。国内での納税は、差し出した基軸通貨によって得た数倍の「元」を利用して賄われ実質的な納税は、減免されるという仕組み。

外貨を獲得する企業が国によって得られた特別な利益は共産党指揮の下、地方行政への投資や供託金として蓄えられ、外貨獲得に貢献した企業と地方共産党の共益となる。さらに国内流通通貨の統制は、「元」流通を仕掛けることで、国民の消費を促し、国内経済を盤石にする。所詮国内通貨である「元」は、現時点では、基軸通貨の価値に重きを置いておらず、基軸通貨保有に劣る国々に対して、中国金融界が覇権を握るロジックがあればそれで良い。 

特に地下資源が豊富に埋蔵され、情報インフラが脆弱な国々、アフリカ大陸やオセアニア諸国、東南アジア、中米、南米が中国の良い投資先またはターゲットとなる。東南アジアにおいては、近年中国の海洋覇権、古くから華僑の進出を疎ましく思っているのが本音だが、中国の内政延長のような状況は今でも変わらない。中国金融機関の援助方法は、様々な収奪において、基軸通貨の代替えとして「元」の大量貸与と中国企業の参画を天秤にかけさせて迫り、相手国の基軸通貨を返済通貨の一部として徐々に巻き上げる。

このような中国の金融政策の仕組みは、獲得した基軸通貨の蓄積と「元」の大量貸与の再循環で、断りの利かない交易体制を確立し、中国国内通貨信用の拡大を目的に実行される。輸出産業は、恒常的な利益を循環させ、急成長が可能となる。

共産党員連絡所を抱える半国営の企業経営者は、いとも簡単に巨万の富を得る仕組みが出来上がり、外貨獲得に躍起になる社会の仕組みは勢いを増して、投資がより盛んになる。皮肉にもこの仕組みが、アジア型経済システムとして欧米諸国からの投資も引き出し、すでにその術中にはまりつつあるNATO 参加国もあり、中国の統制下に選択を余儀なくされていることも現実だ。 それらのシステムに迎合した国々の経済は、一帯一路政策の名のもとに攻略されて、徐々に国力をむしばまれるのだ。

これからは、関与国の経済の中枢に対して、いかに合理的な統制を繰り広げるのかが、彼らのシナリオだ。それはまさに、中国の援助名分での侵略であり、対米、対欧州諸国への清算請求なのかもしれない。

中国は、すでに新型コロナウイルスの発生源について、世界中に穿った情報を配信済みであり、情報拡散は、懐疑と混沌のうちに中国の威力を見せつけた。

新型コロナウイルスの蔓延を契機に、米国や欧州の警戒は、アジアの民の存在そのものに向けられ、民族や宗教への偏見が出そろうことになる。

もはや、イスラム社会の警戒だけではなくなったのだ。経済の威力を中国や中東・イスラム社会に依存する欧州の現状と対中国政策に敵対関係にある米国の立ち位置には、大きな溝があり、すでに分断された西側という構図が浮き彫りとなった。新型コロナウイルスの大流行に偶然を装い、さらにこのシナリオがロシアとの合作であれば、欧州の連携を分断されかねない状況へと陥る。

新型コロナウイルスで、警戒することはすでに推測の域を超え始めているのであって、これからの国際的な救助体制、つまり医療での貢献は、広大な領土と独自の体制を持つ中国とロシアの独断場となる可能性が否定できない。中国は予定通り、緊急医療体制をものの一週間で作り上げその対応力を示した。そしていつも通りに計算されたプロパガンダが世界中を席巻し、既成事実の実績を示した。

この先、世界中にあふれる感染者をどのように隔離するのかが問題であり、それが新たな医療マーケットとなることは明白なのだ。世界の医療体制は、順次崩壊し、機動力、隔離施設、医療体制を擁する国の庇護のもとすべての国が国家存続をかけて調整に入る。すべてがマーケット対象であり、中国主導のもとに世界統制が始まる。

米国もその動きに対して穏やかではなく、この偶然ともいえるシナリオ、マーケット戦略に気が付き、その流れに対処しなければならない。今や安保体制下のもと、主導権を握っていた西側の取り組みは、意見対立への種火にしかならずあらゆる機能が不全へと陥る。

薬剤やワクチン開発、医療機器供給に実績のある日本は、西側の窓口として、アジアでの歴史清算を棚上げし、第三者として傍観を決め込む。それは、マーケットとしての中国との関係性を重視しているからで、もはや日本は、中国抜きに経済や産業の維持すら危ういことを自覚しているからだ。資本主義の中で最も右寄りの傾向にある日本の立ち位置は、アジア圏の一員としての覚醒を余儀なくされるのか。

中国にとっては、とるに足らない朝鮮半島。いまだにお飯事じみた民族統一への悲願と核兵器保有、歴史編纂にこだわり、すべての次元で中国の顔色を伺う存在となっている韓国はもはや西側にはお荷物でしかなくなり、それは、韓国金融の脆弱さを一層加速させる。

ここには、歴史をけん引する国家と歴史に蹂躙される側の大きな違いがあり、国際間での位置取りが一層加速する。

さらに、中国の策略が見え隠れする、東京オリンピックの延期は当初から織り込み済みであり、アメリカ主導の放映権や様々な既得権は衰退し、それを受けて無尽蔵に湧いて出る中国の資本に飲み込まれるのだ。

この先、崩壊し始めた西側の危機に、中国が闊歩する姿がはっきりと見えてきた。今まで世界を主導してきた西側に対して、いつでも手の平を返す準備はできていることを。

国家の繁栄、「天使のシナリオ」は何処にあるのか。歴史は繰り返される。

これから敷衍するのは、普遍的な価値に基づく人類の共存なのか、否か。

すでに歴史的な駆け引きは始まっている。すべては、偶然や偶発を装う歴史事実として、今まさに進行中なのだから。

ノンゼロサムゲームのストーリーは何処に。 

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